会長挨拶

一般社団法人 日本獣医がん学会 会長 小林 哲也

一般社団法人 日本獣医がん学会 会長

小林 哲也

日本獣医がん学会は、小動物のがん治療と研究を支え、人と動物の幸せに寄り添いながらこれまで発展を重ねてまいりました。その成長を導いてこられた歴代会長の確かなビジョンとリーダーシップ、そして会員一人ひとりの情熱が積み重なり、今日の学会を支える大きな力となっています。

このたび、私は日本獣医がん学会の会長を拝命いたしました。3,000名を超える会員の皆さまと共に、新しい時代を切り拓く使命を担えることを、誇りとともに大きな責任として受け止めています。今後は、これまで築かれてきた伝統を大切にしながら、「学び」「研究」「国際化」を三本の柱に掲げ、さらなる飛躍を実現したいと考えています。

第一に、「学び」の拡充です。年に2回の学術集会を一層充実させるだけでなく、非開催月にもオンラインレクチャーやディスカッションの場を設け、学びが絶え間なく循環する学会を目指したいと思います。新しい知識を得る喜びと、互いに刺激を与え合えるつながりを、年間を通じて感じられる環境を築いていきます。

第二に、「研究」の推進です。日本には世界に誇る豊富な臨床例と経験があります。これを体系化し、確かなエビデンスとして世界に発信することは、私たちの大きな使命です。さらに、次世代の研究者が夢を諦めることなく挑戦を続けられるよう、経済的な支援に加えてサンプルやデータの共有体制を整え、研究基盤を強化したいと思います。研究を「志」から「持続するキャリア」へと高め、その成果を必ず動物とご家族の笑顔につなげていきたいと考えています。

第三に、「国際化」の推進です。急成長を続けるアジア獣医内科学会(AiCVIM)との緊密な連携により、認定医制度と専門医制度が互いに補完し合う未来を描きます。日本獣医がん学会は、小動物のがん治療においてアジアの発展を牽引する存在として、日本から発信される知と実践をもとに、地域全体の前進に貢献してまいります。

そして何よりも、学会を動かす真の原動力は会員一人ひとりの情熱です。日々の診療や研究に込められたその想いが集まり、大きなうねりとなって未来を拓きます。私はその情熱を束ね、ともに世界に誇れる日本獣医がん学会を築いていくことを心から楽しみにしています。

2025年7月

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